壊れてしまえ

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2000文字以下 20人リレー
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  • 登場人物が死ぬの有り
  • 暴力描写有り
  • ホラー
  • 現代ドラマ
  • 残酷描写有り
1人目

店内に、男の濁った声が響き渡った。手には半額シールの貼られた惣菜パックが握られている。周囲の客は皆、関わり合いを避けるように視線を逸らし、レジの列から音もなく離れていく。

私の目の前では、若い女性店員が真っ青な顔で立ち尽くしていた。彼女の指先は小刻みに震え、今にも泣き出しそうだ。男はそれを楽しむかのように、さらに一歩距離を詰め、ねっとりとした言葉を叩きつける。
「責任者を出せ。誠意ってのは言葉だけじゃ伝わらないんだよ。わかるよなあ?」
その「誠意」という言葉の裏に透けて見える卑しい欲望が、店内の空気をどろりと濁らせていく。
私はただ、レジ袋を握りしめ、その光景を傍観することしかできなかった。正義感よりも先に、関われば自分もこの泥沼に引きずり込まれるという本能的な拒絶が勝ったのだ。
結局、その場は店長が平謝りすることで収まった。客は勝ち誇ったような薄笑いを浮かべて店を後にした。

しかし、物語はそこでは終わらなかった。
店を出てすぐの横断歩道。先ほどの客が、信号を無視して突っ込んできた自転車に激しく罵声を浴びせているのが見えた。
その声はスーパーの中よりもさらに一段階高く、鋭い。

だが、自転車に乗っていた若者もまた、同じ種類の「闇」を抱えていたらしい。
若者は自転車を止めると、無言で客の胸ぐらを掴んだ。言葉のない、純粋な暴力の予感。
客の顔から先ほどの余裕が消え、醜い恐怖が張り付く。

殺。

2人目

殺意は、言葉よりも早く形を成した。
若者が懐から取り出したのは、研ぎ澄まされた果物ナイフだった。迷いはない。先ほどまで「誠意」を説いていた男の喉元に、鈍い銀色が吸い込まれていく。
「あ、が……」
男の口から漏れたのは、言葉ではなく赤い泡だった。スーパーの惣菜パックがアスファルトに落ち、半額シールが血に染まっていく。若者は返り血を浴びても表情一つ変えず、ただ事務的な作業を終えたかのようにナイフを引き抜いた。
私は動けなかった。正義の鉄槌にしてはあまりに惨く、悲劇にしてはあまりに自業自得だ。

3人目

〜とある男の証言〜
いやー、びっくりしましたよ!なんせ目の前であんな事起きたら、ウチの婆ちゃんでも飛び上がりますよ!!

本当に堂々としていたんです。ほら、健康診断とかで採血するでしょ。そん時の看護師さんの顔に似てたんです、まるで当然の手技って感じで、犯人の表情筋が呼吸してませんでした。

彼?彼女?うーん、僕は女性のように感じましたけど、店員さんとかは違ったみたいです。つまりは顔の綺麗な人でしたね!詩的にすると、蠱惑的な顔立ちってやつです。

そして1番話したい事があります。実はわたくし理学療法士をしていまして、まぁ沢山の方の歩き方を見てきたんですが、あんな足捌き初めてですよ!!いわゆる武術なのか、肉体の脚が未成熟なのかはわかり兼ねますがね