転校生

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500文字以下 20人リレー
3週間前 256回閲覧
  • ミステリー
  • 現代ドラマ
  • 自由に続きを書いて
  • 登場人物が死ぬの有り
  • 暴力描写有り
  • 話の流れを無視OK
1人目

「転校生の…えーっと、佐藤さん、どうぞ」 入ってきたのは、おどおどとした様子の、地味で目立たない女子生徒だった。
「さ、佐藤…美由紀です。よろしくお願いします…」
消え入りそうな声。クラスの男子たちは「ハズレかよ」と露骨に興味を失った。

2人目

(やだな…)
勝手に期待して失望する…
好きで こんなんじゃない…変わりたいと思ってる。
彼女のように美しく気高ければ。彼のような力強さや豪胆さがあれば。
鳥のように自由なら…。

先生に言われ、自分の席…私の場所へとクラスメイト達の間を抜けていく…。
石ころほどにも私に価値を見出していない者。新しい玩具が手に入ったと思っている者。
自分より下の奴ができたと喜んでいる者。
誰もかれも、私…美由紀という存在を好き勝手に考えている。

席に座ろうとした瞬間、隣の男子と目が合う。
反射的に頭を下げていた…
彼の視線が無駄に大きくて重い私の胸に注がれているのを感じる。
(気持ち悪い…)
不意に男女の体が入れ替わる"転校生"という映画の事が頭をよぎる。
魂が入れ替わり、姿形が変わって…進んでいる道が変われば…。
(誰かが私になって…私じゃ無い私が、私を演じる…。そして私は…)
それは、とても甘美で素晴らしい気がした…
服のボタンを掛け違うように、その願いは叶った。

(あれ?何で俺がいるんだ!?)
頭を下げた彼女…転校生の佐藤 美由紀の豊かな胸が たゆんっと揺れて…
突然、視界が変わって俺がいた

3人目

視界が低くなり、胸元に重みを感じる。
混乱する俺の目の前で、俺の姿をした彼女が、信じられないものを見るような目で自分の手を見つめていた。
(…誰かが私になって私を演じる…)
彼女の願いが、俺の思考にノイズのように混ざり込んでくる。
それは切実で、痛いほどの孤独だった。
「…あ」
俺の体に入った美由紀が、小さく声を漏らす。
クラスの連中が、怪訝そうにこちらを見ている。いつもなら俺が「なんだよ」と笑い飛ばす場面だ。でも、今の俺の姿……彼女の姿では、それはただの「怯える転校生」にしか見えない。

4人目

(ど、どうしょう…)
頭の中が こんがらがり、そして…
「な、なんだよ!ジロジロ見るなよ!」
佐藤 美由紀の気持ちが彼『北弓 蒼(きたゆみ そう)』の思考と混線して
口から飛び出す。
それは彼らしい振舞いでクラスメイト達の表情がやわらぐ。
「鼻の下を伸ばして転校生のおっぱい見てるからだろ~。巨乳フェチ!」
「だ、誰が巨乳好きだ!それは、お前だろ!」
気持ちや思考を彼の波長に乗せれば自然と言葉が出て来る。
驚き以上に何とも言えない不思議な感覚。
(今、自分は”北弓 蒼”なんだ!水泳部の人気者の!)
日に焼けて引き締まった力強い身体の中で私の興奮に答えるように心臓が高鳴る。
「佐藤さんも早く席に着きなよ。授業が始まるぞ!」
機先を制して口を開きかけた私になった彼へ ピシャリと言うと、
釈然としないながらも(ここで騒ぐのは良くない)と思ったのだろう
今や彼の新しい席となった所にしぶしぶと座ってくれた。
「…休憩時間になったら、わ…俺についてこい」
小声ながらも力強い言葉。でも怖くない。
「いいぜ!転校生には校内を案内してくれる親切な人が必要よね」
挑戦的な返事に何か言おうとして…うつむく彼