小説の小説
「また、なの?」
彼女は呆れた顔で僕を見た。
「最後まで面倒みるから…」
「そう言って放置しているのが、いくつあると思ってるの?
誰かが やってくれると思ってない?」
痛い所を突かれ、僕は苦虫を噛み潰したようになる。
「いや…でもリライブって、そういう所じゃない?」
「あのね、ここに集まって来る人達、みんなが みんな、
”ヘンリー・ダーガー”みたいな執筆狂人じゃないのよ。
仮に数人、そういう人が居たとしても情熱も時間も有限なの。無尽蔵じゃないの」
確かに そうだ…今の時代 娯楽は無数に存在し、
タイパ重視で小説のタイトルは長くなり ファスト映画なんてモノまであるのだ…。
それでも…
「いや、僕は悪くないよ。あいつさ、あいつ!
”ゆべにゃん”って奴が手当たり次第に首を突っ込んで来て、
僕の『完璧なる物語(パーフェクト・ストーリー)』を
滅茶苦茶の襤褸襤褸にするのが悪いのさ!」
「ちょっと!襤褸はボロって書きなさいよ!変換できるからって何でも漢字で書かないの!場合によっては( )を使ってフリガナを入れるのが優しさよ」
「そういう自分ルールを押し付ける人がいるから過疎るんだと僕は思いますよ。
大体、それを言い出したらクトゥルフ神話、忍殺語、淫夢語…
ネットミームやら何やら 知ってる前提で使うのだって問題じゃないの?」
勢いに任せて指摘すれば、彼女は頬に手を当てて考え…
「それは、そうなんだけど…その辺はザックリとした理解でも大丈夫じゃない?
書いた人も解釈違いで叩いたりしないだろうし、
気にする人はプロットやタグ、あるいはプライベートにするでしょ?」
うぐっ…言い返せない。
「私としては自分が始めた物語なんだから、もう少し愛して欲しいのよ」
「それって、ちょっと重くない?」
「かもね…」
沈黙が降りる。
不安そうに『まだアイデアでしかない物語』が僕の中でムズがるように動く。
(僕は、どうすべきなんだろう…)