さよならの雨

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1人目

 その日の晴れ間が覗いたのは、朝のほんのわずかな時間だけだった。

「先輩……?」
「おはよ。ごめん、ちょっと出かけてくるね。お昼には戻るから」

 私がベッドで目を覚ましたとき、香織先輩はコートを羽織りながら既に出かける準備万端で玄関先にいて、いつものようににこっと私に笑っていた。
 まるでコンビニにでも行くような気軽さに、私は横になったまま、返事も忘れて目だけで彼女を見送ることにする。

 行ってきまーす、という元気な声とともに、先輩はくるりと背を向ける。けれど、ドアノブに手を掛ける直前の横顔を、私は見逃さなかった。

 ——靴箱の上に飾られた、小さな写真立て。
 それを見たとき、一瞬だけ、けれど懐かしそうに、先輩は目を細めていた。
 そこに写る、二人の華奢な女性。肩を寄せ合い、花の咲くような笑顔の香織先輩。その横に静かに並んでいたのは、私ではなかった。

2人目

写真に写っているもう一人の女性について、香織先輩に聞こうとしたが、既にその姿はなかった。

「もう一人の女性は誰なんだろう」

香織先輩の横顔の意味が気になった私は、香織先輩には内緒で、香織先輩と仲が良かった先輩に連絡を取ってみることにした。