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1人目

エルヴァンは、湿ったジャングルの奥深くで、慎重に足を進めた。背の高いシダ植物が絡み合うように生い茂り、足元では湿った土がわずかに沈み込む感触がブーツに伝わる。空気は重く、熱帯特有の蒸し暑さが彼の額に汗を浮かべていた。背中に背負った軽量の通信水晶からは時折微かな魔力の波動が漏れ、遠くにいる議会の存在を思い出させた。
「現在位置、セクター7の北東部。目標の尾行を継続中」と、エルヴァンは低く抑えた声で通信水晶に囁いた。
目の前を進む二つの影――黒い装備に身を包んだ二人組は、まるでジャングルの闇に溶け込むように動いていた。
彼らの動きは熟練の暗殺者のそれで、足音はほとんど聞こえず、時折、枝を避ける際のわずかなマントの擦れる音だけが響いた。
エルヴァンの視線は鋭く、彼らの行動を一瞬たりとも見逃さないよう注視していた。
議会からの情報によれば、この二人組は、ジャングルの奥に隠された「聖域」に向かっている可能性が高い。聖域の詳細は不明だが、近隣で観測された異常な魔力の波動と関係があるとされていた。エルヴァンの任務は、彼らの目的地を突き止め、可能な限りその情報を議会に伝えることだった。