異変

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  • 性的描写有り
1人目

宇宙船が激しく揺れ始めたのは航海からすぐの事であった。
ブオーンブオーン…。警報音が鳴り響き、計器が滅茶苦茶な数字を表示する。
内部の空間も歪んでいるようだ。アブデル達は波打つ床の上を転げ回る。
「ね!ねじれるぅ!」
アブデルが叫んだ。机の上から転がり落ちたペンがドリルのようにねじれていった。
ビカーンビカーンと点滅するランプに照らされながら、アブデル達は必死で壁にしがみつく。
何かがおかしい。
何が起こっているのかわからないが、この宇宙船にネジレを生じさせる程の力を持った物体が接近してきている。それは確かだ。アブデルは恐怖した。

そして、その恐怖心は、すぐに絶望感へと変わった。

ズガーン!!
大きな音と共に船体が大きく振動すると、アブデル達を乗せた宇宙船はその動きを停止した。

2人目

一瞬の静寂の後、思い出したようにコクピット中のアラームがけたたましく鳴り始める。アブデルは胃の中の宇宙ペーストが「ねじれ」の余波でまだぐるぐると回っているような錯覚に陥りながら、アラームに負けない声で通信端末に吠える。
「バシール!生きてるか!」「アイアイ」「サーミヤ!」「なんとか。キャプテン」「ターリク!」
ブガーンブガーン……
応えるのは警報ブザーだけだ。
「ターリク!?」
狼狽したアブデルは「ねじれ」に痛めつけられた体を強いて起き上がる。
「誰かターリクを見ていないか」
「あのクソみたいな事故が起きる前……たしかヤツはバリア装置の点検に行ってたはずだ」バシールの声。「警報によると……キャプテン、バリア区はプラズマが解放されて酷いことになってるようだ。多分やつはもう……」
「クソ……。船の他の設備は?」
「航行装置はほぼ全滅。エネルギー循環システムダウン、通信システムはこの通り生きてますが、バッテリーの補充は望めませんね。重力発生装置もオフライン……」
サーミヤの答える声にアブデルはハッとする。
「待て。重力発生装置がオフラインだと?じゃあなんで『この船は傾いている』んだ?」
重力が無ければ、見た目の「下」と重力方向のずれ、つまり傾きを感じるはずがない。
「……つまり、」サーミヤの声に動揺が混じる。「我々を襲った謎の重力発生源が、まだこの『下』にあるということでしょう」


アブデルは重力を感じる方向に目を向ける。宇宙船外カメラはすべて死んでおり、ねじれて渦状に波打つ全周スクリーン装置は、真っ黒な表面に何も映さない。
「一体この『下』に何があるってんだ?」
その呟きに応えるように、重力方向がびくりと振動するように変化する。先ほどの恐怖が胃の底をかき混ぜる。恐怖は埒もない妄想を駆り立て、宇宙飛行士としての心がそれを必死で否定する。……生きている?重力場が?バカバカしい……。
「超長距離通信でSOS発信だ。バッテリー保たせる為にそれ以外の発信はこの通信を以てすべて閉じる。全員船外活動服に着替えてメインハッチ前に集合だ」
災害対応時のマニュアルに従うことで、アブデルは自分の日常を、「普通」を取り戻そうとしていた。

3人目

アブデルは通信を切ると、自分のロッカーへ駆け寄った。
彼はためらいもなく作業服を脱ぎ始める。
「服なんて、今は邪魔だ」
そう思った瞬間、自分でも驚くほど自然に全裸になっていた。
その行動の背後に何かの意図があることなど彼は知る由もない。謎の重力源が彼の神経の奥底に触れ、服を脱ぐという命令を「自分の意思」「普通の行動」と錯覚させていたのだ。
アブデルの「普通」は既にねじ曲げられている。あの時のペンのように。

「ターリク…お前、こんなとこで死ぬなよ…」
ターリクは、アブデルにとって弟のような存在だった。明るく、どんな困難にも臆さずに立ち向かう男だった。
そんなターリクが、もうこの世にいないかもしれない。
だが、今は感傷に浸っている場合ではない。
生き残るために、できることをしなければならない。
「まずは、情報を集めないと。何が起こったのか…そして、これからどうすべきなのか」
アブデルは心の中で呟きながら、全裸のままメインハッチへと足を進めた。
自分が今どのような姿であるかさえ気に留めず。
船内の冷たい金属の壁に身を寄せながら、アブデルは次の一手を考え続けていた。
メインハッチ前の通路は狭くて寒く、アブデルの全裸の体を冷たい空気が撫でる。重力の向きは先程から数度変わったように感じられ、胃の底が不快に震える。
ハッチ横の船外カメラ操作パネルに辿り着いたアブデルは、迷わず電源スイッチを入れた。
「頼む…起動してくれ…」
パネル上の小さなモニターが数秒の間暗闇を映した後、ブブッという鈍い電子音と共に画面に光が灯る。
「よし…!」
だが、そこに映し出されたものは想像を遥かに超えるものだった。
画面には、宇宙船のハッチ外…すなわち彼らが「下」と感じていた方向の映像が映し出されている。
暗闇の中、微かな緑色の光が揺らめいている。それはまるで生命体の鼓動のように、ゆっくりと脈打ちながらこちらを照らしていた。
そして、その光の中に漂う巨大な影。

4人目

画面に映し出された巨大な影は、一見すると何かの機械の残骸のようにも見えたが、よく見るとその表面は滑らかで、有機的な曲線を描いていた。緑の光はその影全体を包み込むように揺らめき、アブデルは思わず息をのんだ。
「なんだ、あれは…?」

5人目

アブデルはパネルを操作し、ズームインを試みる。その影が、有機的でありながら同時に極めて高度な技術によって作り上げられた巨大な構造物であることが分かってきた。
それは、500メートル級の超巨大な円盤状、あるいはドーナツ状の構造物で、中央部分が奇妙な緑の光を放っている。
その巨大なドーナツ状の構造物は、ゆっくりと「口」を開くように中央の空洞を広げた。緑色の光が強まり、宇宙船の船体を引き寄せ始める。

6人目

船体がギリギリと軋み声を上げる。巨大な構造物の「口」から伸びた緑色の触手のような光の帯が、ハッチの隙間から船内へと侵入してきた。
「来るな…来るな!」

7人目

ギチギチと嫌な音が響き、船体は巨大な構造体の「胃袋」にあたる空洞へと押し込められた。
緑色の不気味な光に照らされたそこには、ひしゃげ、ねじ切れ、原形を留めぬほどに破壊された無数の残骸が浮遊していた。

その中に、ひときわ異彩を放つ残骸が、ゆっくりとこちらへ回転しながら近づいてくる。 船体の半分が溶解し、内臓を引きずり出した獣のように配線やダクトが剥き出しになっているが、その側面には誇らしげな「ドクロと稲妻」のエンブレムが刻まれていた。
「…あれは、『デッド・レクイエム号』か?」
アブデルはモニターに顔を近づけた。
先週、この宙域で行方不明になり、銀河連邦警備隊が懸命に捜索していた宇宙海賊、リドリー・バーロウの旗艦だ。

8人目

デッド・レクイエム号の割れたハッチから、何かが吐き出された。
それは、人間だった。
海賊の戦闘服を着た男達が数体、真空の宇宙空間へと投げ出される。
しかし、それらは慣性に従ってどこかへ飛んでいくことはなかった。

9人目

緑の触手のような光の帯が、まるで蜘蛛の糸が獲物を絡めとるように海賊達へ吸い寄せられ、彼等の戦闘服の中へと潜り込んでいく。
アブデルは、モニター越しに展開される光景を、ただ呆然と見つめることしかできなかった。
「な…んだ、あれは…」
海賊達の体が、真空の闇の中で奇妙な躍動を見せている。
緑色の光の帯——触手のようにうごめくそのエネルギー体が、海賊たちの戦闘服の継ぎ目や、生命維持装置の排気口から容赦なく内部へ滑り込んでいるのだ。
もがく海賊たちの動きは、恐怖によるものというよりは、生理的な拒絶反応に近い反射的なものだった。
戦闘服が内側から膨らみ、ヘルメットのバイザー越しに、緑色の光が彼らの口や鼻へと侵入していくのが見える。
アブデルは震える指先で、コンソールのズームレバーを極限まで引き絞った。全裸の肌に伝わるブリッジの冷気も、もはや意識の外にある。モニターの中、緑色の触手に絡め取られた海賊の一人が、画面を埋め尽くすほどにクローズアップされた。
「なんだ、これは…」
カメラのレンズが捉えたのは、海賊の戦闘服が、不自然なほどに内側から押し上げられている光景だった。
特にその股間部だ。強化スーツの股間が、まるで中に巨大な芋虫でも詰め込まれたかのように不気味にモゴモゴと蠢いている。
アブデルの視線が釘付けになっていると、不意にその海賊が、激しく身をよじりながらこちらの宇宙船の方を向いた。
ヘルメットのバイザーの奥、男の目は血走り、恐怖と苦悶で限界まで見開かれている。男は震える腕を、アブデルの乗る船へと必死に伸ばした。
『…け…て…助けてくれ…!』
通信機から、ノイズ混じりの絶叫が飛び込んでくる。
その時、その海賊の戦闘服は内側から「爆発」した。
強化繊維で編み上げられたはずの装甲が、まるで熟れすぎた果実の皮のように無残に弾け飛ぶ。引き裂かれた布切れが宇宙空間に霧散し、緑色の光に照らされた男の剥き出しの肉体が露わになった。
アブデルは息を呑んだ。
助けを求めていた海賊の体は、股間から胸元にかけて完全に露わになった。
鍛え上げられた男らしい胸板には、野性味を感じさせる濃い胸毛がびっしりと生え揃い、それが緑色の光に照らされて不気味な陰影を落としている。アブデルの視線は、吸い寄せられるように男の股間へと固定された。
そこには海賊の肉棒に絡みつく半透明で粘着質な緑の触手がのたうっている。
海賊の男性器は勃起には至っていないものの未知の刺激によって、亀頭は充血し皮を押し退けてその全容を完全に露出させていた。
膨張し赤黒く変色したその先端からは、生理的な拒絶と快楽の混濁を示すかのように、白く濁った分泌液が宇宙の深淵へと滴り落ちている。
デッド・レクイエム号から吐き出された他の海賊達も、同様の惨状を呈していた。
剛胆な荒くれ者として名を馳せた男たちが、一様に戦闘服の股間部を無残に裂かれ、禍々しい空間の中で身をよじらせながら漂っている。彼等の肉棒もまた、等しく緑色の触手に陵辱されていた。
モニターに映し出される、宇宙の荒くれ者たちの無惨かつ淫靡な姿――。
屈強な肉体を誇る海賊が、未知の触手に翻弄され、その猛々しい象徴を船外カメラの前に晒して悶える様は、アブデルの理性を飛ばしてしまうすのに十分な破壊力を持っていた。
抗いようのない衝動に突き動かされ、アブデルは自らの右手を下腹部へと伸ばした。指先が、怒張した自身の肉茎に触れる。
「くっ、あ……!」
アブデルは荒い呼吸を繰り返しながら、自身の中心を握りしめた。アブデルが己の猛りを荒々しく扱き上げたその時、轟音と共に視界が激しく明滅した。
ズ、ズガガガガッ!
「ぐわああっ!」
断末魔のような金属音が船内に響き渡り、強固な装甲を誇ったメインハッチが、内側へとひしゃげた。
侵入してきたのは、モニター越しに見ていたあの不気味な緑の光。
ペニスを屹立させたアブデルの体は浮き上がり、巨大な亀裂から外へと投げ出されていった。
宇宙の深淵へと放り出されたアブデルを待っていたのは、死の静寂ではなく、ねっとりとした粘性を帯びた未知の「大気」であった。それは生命を維持するに足る組成を持ちながらも、どこか有機的な、獣の吐息を思わせる湿り気を帯びている。
「はぁ、はぁ……っ、息が……できるのか……?」
アブデルは虚空を掻いた。重力方向が定まらず、上下左右の感覚が消失した空間で、全裸の肉体は無防備に晒されている。周囲には『デッド・レクイエム号』の残骸と、側面に大穴を開けた自分の船が見えるだけで出口らしい物はどこにも無い。
あったとしてもその向こうは真空の宇宙、自分達はこの妖しげな空間から二度と出られないのだと諦めるしか無かった。
しばらくの間、アブデルは生理的な快楽と宇宙の深淵に対する根源的な恐怖の狭間で、手足を無様にばたつかせていた。
そんな時、幾重にも絡み合う配線とひしゃげた隔壁の影から、一つの人影がゆっくりとこちらへ向かって流れてくるのを、アブデルの充血した眼が捉えた。
「あ、あれは…」
その姿を認めた瞬間、アブデルの心臓は激しく高鳴った。
「タ…ターリクか!?」
アブデルは狂おしいほどに昂ぶった己の剛直を握り締めたまま、叫んだ。
「無事だったんだな…。お前も、服を脱いだのか。やはり、この方が動きやすいし…理にかなっているな」
アブデルは、眼前の部下が全裸で、しかも限界までペニスを勃起させているという光景に対し、驚きも羞恥も抱かなかった。
それどころか、親愛なる友の「正常な勃起反応」を確認できたことに、深い安堵さえ覚えていた。思考が完全に歪んでいる。
「ああ。なんだか、急に服が煩わしくなってな。キャプテンとお揃いって事になるな」
ターリクはいつもと変わらぬどこか人懐っこい笑みを浮かべた。そして、まるで行き慣れた船内を移動するかのような軽やかな身のこなしで、泳ぐようにアブデルへと寄ってきた。
「見てくれ、このザマだ。船はめちゃくちゃだが、お前が生きていて本当に良かった」
アブデルは大穴を開けて漂う宇宙船を指差した。
「ああ、あれじゃあメインスラスターも基部から折れてるな」
ターリクは、ひしゃげた外壁から火花を散らす愛船を眺め、他人事のように肩をすくめた。
「だが、不思議だな…。死を覚悟したはずなのに、体はこんなに熱い。ターリク、お前もだろう?」
アブデルは、眼前に漂うターリクの肉体へと視線を這わせた。弟分として可愛がってきた男の肉体は、いつの間にか成熟した雄の芳香を放っている。
「…ああ、キャプテン。熱いなんてレベルじゃない。体中の細胞が、この緑の光に浸されて、内側から沸騰しちまいそうだ」
ターリクは、宇宙を漂う重力に身を任せながら、ゆっくりと足を広げた。そして自身の臀部を両手で左右に押し開き、赤く充血した肛門をこれ見よがしに突き出した。
アブデルは自らの荒々しく反り返った剛直を握り締め、その怒張をターリクの晒された肛門へと向ける。
「ターリク…俺達はもう助からない。この出口の無い空間の中で朽ちるしかないんだ」
「…分かっている。だからこそ、最後は『本能』に従いたい。キャプテン、あんたのその極太のやつを俺の最奥まで貫いてくれ」

10人目

アブデルは腰を突き出し、自身の先端をターリクの肛門にしっかりと押し当てた。
潤滑を助けるのは、己の先走り液か、あるいはこの空間に満ちる得体の知れない有機的な分泌物か。それすら分からないままアブデルは交尾に移行してしまう。
ズ、と重い抵抗感と共に、アブデルの熱い塊がターリクの体内へと侵入を開始する。アブデルは、自身の肉茎がターリクの括約筋を押し広げ、未知の熱帯へと沈み込んでいく感触に、頭の芯が痺れるような歓喜を覚えた。

11人目

「キャプテン、もっと奥まで…!」
ターリクの手足が後ろに回され、アブデルの腰を力任せに引き寄せる。二人の肉体が激しくぶつかり合うたび、周囲の緑色の触手が、祝福するように細かく震えた。
アブデルの視界は次第に白濁し、自己とこの空間との境界が曖昧になっていく。