怪しい仮面
突然、視界が元に戻った。
京一は自宅であるボロアパートの部屋に立っていた。男は仮面を手に持ったまま、じっと京一を見つめている。
「お前も感じてるだろ? この部屋の気配。あいつらが近づいてきてる。」
京一は言葉を失い、ただ震えるばかりだった。男は仮面を京一に突きつけ、「これを自らの手で壊せ。さもないと、お前もあいつらと一緒に…」と言う途中で、言葉を飲み込むように口を閉じた。
「この仮面を僕が壊す!?それが本当に正解なの?」
京一は仮面を受け取るが、壊すべきかどうや悩んでいた。
「本当に私を壊すのか?私を壊せば、後悔するぞ……」
「仮面が喋った!?」
悩んでいると、仮面が急に喋りだしたのがわかり、京一は驚いていた。
「仮面を壊さないと、助からない」
「やれやれ……そうだ。良いこと思いついた。ふん……」
「うわっ!?な、何!?急に仮面がくっついてきて……は、離れない!?」
京一は、仮面を必死に剥がそうとするが、全く剥がせなかった。
「ぐあぁっ! 顔が…熱い…!」
京一の叫びは、次第に低く、獣のような唸り声へと変わっていった。男は動揺し、懐から短剣を取り出す。
「バカな、飲み込まれるのが早すぎる…!」
「壊せと言ったのは……お前だったな?」
京一の口から出たのは、彼自身の声と、複数の他人の声が重なったような不気味な残響音だった。仮面は皮膚と同化し、縁からはどす黒い血管のような紋様が首筋まで伸びている。
「く、くるな……」
男は、京一が仮面と同化してしまい、人ならざる者の姿をしており、恐怖に怯えながらナイフを振り回していた。
「ほら、壊せるものなら、壊してみろ」
仮面を着けた京一は、ナイフに近づいて、挑発してくるが、怯えている男は、恐怖で失禁してしまい、動けずにいた。その姿を見て、笑みを浮かべた後、仮面を着けた京一は、大きな口を開けた。そして・・・
「バリバリ……バリバリ……」と、音をさせながら、ナイフを食べていっていた。
男は、絶望に近い感覚に泣き崩れてしまっていた。