食べ物ファンタジー(TF)

2 いいね
500文字以下 10人リレー
2週間前 388回閲覧
  • ファンタジー
  • ギャグ
  • おふざけ推奨
  • 自由に続きを書いて
  • 楽しんだもの勝ち
  • 性的描写無し
1人目

僕、新田新太は下校中に亡くなりこの中世ヨーロッパ風の世界へと転生したようだ。
「異世界か……」
僕は町の真ん中でそう呟いた。だが僕は今、ワクワクが止まらないでいた。
「やった! 異世界だ!」
異世界それは男子が憧れ妄想する世界。これでテンションの上がらない男子はいないだろう。
「とりあえず、町を探索だ!」
僕は異国の町を小走りで探索をした。
「ここは……武器屋!」
町を探索すると、1軒の武器屋を発見したのだ。
僕は武器屋の扉をギギギっと押す。
「いらっしゃい」
扉を開けると期待通りとも言える。ガタイがよくぶっきらぼうな店主が腰を掛けていた。
僕はキラキラと目を輝かせて店内を見渡す。
「おぉ〜!」と感性の声が漏れてしまう物を見つけてしまった。
(これはファンタジーでお馴染みの木の棒!)
「店主! この武器持ってみてもいいですか?」
「おぅ、構わねぇぞ」
僕は飾られている木の棒に近寄る。
(凄い! これが木の棒か! でも何か細いような……)
僕は木の棒を持つと木の棒はへにゃっと曲がる。
「これって…まさか」
「あぁ、うち1番のゴボウだ!」

2人目

「おうオヤジぃ!ここは八百屋かァっ!?」
「オモテの看板見えねえのか?武器屋に決まってんだろ!」
「武器ってこれ、ゴボウじゃねえか!」
「はぁ~……」
オヤジがため息をつく。ため息を吐きたいのは俺だよ!
「いいかボウズ……『ステータス』!」
僕の目の前にステータスウインドウが表示される。……あっ!初ステータスがオヤジに取られた!っていうか自分以外にも発動できるの!?
「ここがお前のATKだが、25、アメリカザリガニの雌くらいのパワーだ。」
「それ突っ込まなきゃダメか?」
「そしてその横に書かれた+345、この数字がゴボウ装備時の値だ」

3人目

「なぁーんか、食べ物を粗末にしてるようで気が引けるけど、仕方ねぇな。」
「おいおいボウズ、勝手に持って行くんじゃねぇ、ちゃーんと代金払ってもらわねぇと。」
あ…ヤバ…忘れてた…
異世界に来た喜びでいっぱいだった俺に、『現実的な問題』が付きつけられる。
俺はひとまず、服の至る所にあるポケットを探ってみた。
…が、案の定、コインの一枚も入ってない。

俺がどうして青い顔をしているのか、鍛冶屋のオヤジは察した様子で、溜息をつきながら、俺に一つの提案をする。
「なら『ダンジョン』に行って、自分で採ってこい。」
「…『採ってこい』???」
「今のヘナチョコ(Lv1)のお前には酷だろうが、もしかしたらコイツ(ゴボウ)より、も
 っと強い武器が手に入るかもしれないぞ。」

4人目

「ってわけで……その、最初の一本、レンタルとかってできませんかね……?」

 ゴボウや人参の話を聞いて目眩がしてきた俺は、恥を忍んでオヤジに頼んだ。
するとオヤジは、鼻で笑ってから奥の物置きへと消え、数分後に“何か”を持って
戻ってきた。

「しょうがねぇなぁ。じゃあコレを貸してやる。うちの“初心者用レンタル武器”だ。
あくまでレンタルだ。戻ってきたらちゃんと返すんだぞ」

 手渡されたのは――

「……バ、バナナ?」

 見た目は完璧に熟れたバナナ。
しかも皮がちょっと黒くなってる。熟しすぎでは? 戦えるのかコレ?

「名前は《バナナブレード》。当たればたまにスリップするぞ。
上手くいきゃモンスターを転ばせられるかもな」
「それ、武器って呼べます!? 形が辛うじてブレードみたいなだけで……」

 オヤジはご満悦だ。俺は絶望だ。

「まあいいさ……最初は何でも使ってみるしかない……。
『バナナブレード』、頼むぜ……!」

 こうして俺は、滑りやすさ特化の果実武器を装備し、
バナナ一本でダンジョンに挑むことになったのだった。

 

 つか、モンスター? モンスターって言ったか今?

5人目

不安と絶望を押し殺し、俺は《バナナブレード》を片手に鍛冶屋を出た。街のすぐ外れには、ぽっかりと不気味な口を開けた『ダンジョン』の入り口がある。
「レンタルとはいえ、せめてまともな剣を……いや、文句を言っても始まらない。進むしかないんだ!」
 意を決してダンジョンに足を踏み入れると、すぐさま最初の敵が現れた。
「うわっ、デカいネズミ! しかも目が赤い!」
 体長50センチほどの巨大なネズミが、「キィキィ!」と甲高い声を上げ、素早い動きでこちらに突進してきた。反射的に俺は《バナナブレード》を振りかぶる。
「くそっ、当たれー!」

6人目

しかし、攻撃は塞がれてしまい、後ろに吹き飛ばされてしまう。

「このまま……死ぬのか。嫌だ……また、死ぬなんて嫌だ……」
俺は、怖くなりながら、必死にバナナブレードを振り回していた。

「ギィギィ……!?」

「な、なんだ!?何が起きたんだ!?」
振り回していると、モンスターの様子に異変を感じて、目を開くと目の前でモンスターは倒れていた。

「君、無事かしら?」

「は、はい……」
俺を助けてくれたのは、赤髪を後ろで括った玉ねぎシールドとキュウリランスを持った女性だった。

7人目

「汚れ切った目だ、やはり殺す」

赤髪の女は、キュウリランスを構え、その切先を俺に向けた。

「謀るかのか、女ぁ!!」

怒号は谺(こだま)し、場の空気を締め固める。

「避けろ避けろ避けろ!!なぶり殺しじゃ、つまらんよ!」

赤髪の女は槍を何度も突き出し、その切先が皮膚を掠める度に、俺の背筋はひやりとした。

「汚れ切った目で、私を見ろよぉ!」

艶やかなはずの髪を掻きむしり、ひたすらに発狂していた。

そんな様子に俺は、ただただ戦慄を覚えた。

「何故だ、何故、俺を襲う!!これはお前が見た真実か、それとも誰かが見せた夢なのか」

変わらず錯乱する女は、その巨大な盾を放り、両手で槍を構えた。

しかし槍を両手で持つというのは、この場においては悪手だった。

「これは!お前が見ている真実なのか」

女は槍の柄を強く握ったようで、その軋む音が俺の耳を震わせた。

「臆病者め、かかってこいっ!!」

バナナソードは妖しく輝いた。