天と邪闇と私と蛙と

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1人目

神々は問いた。
「なぜお主はここにいる。何をしに来た。何を求めた。」
男は微笑し答えた。
「分かりました。お教えしましょう。それは…………


あれは20年前の夏だった。私はとある事情で政府から最近ある島で発掘されたという遺跡を調べてほしいとの依頼があった。
報酬はとても高く、そしてこのご時世である。行くしかなかった。
そうして遺跡が発見された島、
そう『狂徒琴島』に向かった。
島に向かう船で同じく遺跡調査にきたA氏と出会った。
案外いいやつで趣味も合いすぐ打ち解けた。
そうして話しているとあることを聞いた。
なんでも近くのある山にて調査連隊が行方不明だそうだ。
最後の連絡では廃屋がどうたら言っていたらしい。
そんなこんなしているうちに島についた。
思えばこの島が始まりだった。

2人目

島に入って、最初に見えた物は木だった。
何年、何十年と底にたっているのだろう、つたとからまりただ空を見上げるように生えている巨木。
これこそがスカイツリーなのだと、私は思った。
ただ一つ、わたしたちは見逃していた。
今回はサバイバルに特化している者たちがいなかった。
本来は1人いる予定だったものの、風邪をひいてしまったのである。
だが、わたしたちは気楽だった。
「調査」
この言葉は、いつの間にか私たちの中で
「探検」
という言葉に代わっていた。
これが私たちが犯した、最初の間違いだった。

3人目

遺跡の正体は、かつて高度な文明を持っていた先住人類が遺した「現実改変装置」だった。スカイツリーと見紛う巨木は、大気中の情報を吸い上げるアンテナに過ぎなかったのだ。

私たちは「探検」のつもりで、不用意に最深部のスイッチに触れてしまった。その瞬間、同行していたA氏の存在がこの世から消えた。いや、消えたのではない。「最初から存在しなかったこと」に歴史が書き換えられたのだ。私の記憶の中にしか、彼は残っていない。
「……それは、『失った友を、定義し直すため』です」
男は静かに涙を流した。
「世界が彼を忘れても、私だけは彼を覚えている。私はこの20年、彼をもう一度『存在』させるための数式を探し続けてきました。神々よ、あなた方の持つその記録(アーカイブ)に、彼の名前を書き加えさせてほしい」